聴こえるようで聴こえない、でもちゃんと伝わるBGM
2018夏アニメで「七星のスバル」放送されていますね。劇伴で参加していますが、テレビで見たり、ヘッドフォンをつけてみたりといろいろしてみてるのですが、BGMについてちらほら発見がありますね。
アニメでは声優さんの声、効果音、BGMというのが音としては入っています。その中で、BGMは比較的小さめな音で入っていると思います。やはりメインとして聴こえてくるのはセリフで、その次に効果音という感じだと思います。
小さめになっている音楽でも、聞いていてしっかりと伝わることがあるなぁと、実際に作ってみて感じたことがあるのでそれらについてまとめます。
オーケストラものの編成の大きさ
一番わかるのがオーケストラものの編成の大きさかなと思いました。「七星のスバル」はわりと小さめのオーケストラ編成でレコーディングされているのですが、けっこうこの辺の人数感なんかは聴いているとわかりますね。
「進撃の巨人」を手がけている澤野さんのTwitterで、「Hrnは6人です!」というツイートを見かけたのですが、おそらくスバルの倍くらいの人数でレコーディングされているのではないでしょうか。やはりそれだけ人数感は感じますね。
逆に、ソロ弦なんかは聴いていてもソロとしてちゃんと聴こえるので効果的にソロ弦の曲を入れていくのも面白いだろうなと思いました。
メロディは意外と邪魔にならない
昔自分は広告系の音楽をよく作っていたのですが、基本的にリフ物でメロディがないものを作っていました。今でも流行りのCM曲なんかはメロディらしいメロディがないと思います。あるとしたら歌詞が商品についての歌詞になっていて、歌そのもので宣伝をする形になっていますね。最近いいなと思ったCMの例。これもピアノのリフをミニマル的に繰り返す感じですね。
https://www.youtube.com/watch?v=Y2b9U6qu5SU
今回スバルでは「BGMっぽすぎないBGM」というようなオーダーがありまして、けっこうメロディがばんばん入っているBGMが多いのですが、意外と気にならない気がします。アニメを見ていると映像を見ながらそのキャラが喋っているかのように声優さんがバッチリ演技されますので、意識がセリフにフォーカスされる気がします。
ゲーム音楽などもそうですが、音の情報量が増えてくるとBGM側の情報量を減らすことが必要になってくると思います。人間が心地よく処理できる量としては3つくらいでしょうか?例えば、
- セリフ
- コード感
- リズム楽器
メロディを入れるとすると
- セリフ
- メロディ
- コード感
とかでしょうか。印象的なBGMでバラード調のものが多いのはリズムの要素を省いて耳に届いてるからのような気がします。
めちゃくちゃ複雑なリズムでメロディも入っていて…となるとBGMとしては少しうるさく聞こえてしまうのかもしれません。このあたりはもっと経験を積んでいくとわかるのかなぁという印象です。
意外と邪魔にならない気もしますがやりすぎには注意すべきだとおもいます。あくまで、今までの認識よりも思ったほど邪魔にならないというお話です。
打ち込みかどうか
これは打ち込みが上手かどうかにももちろん寄るのですが、生録に携わるプレイヤーのみなさんが半端なく上手なので打ち込みだとどうしても少し音に説得力がなく聴こえる気がします。
パーカッションやシンセは打ち込みになることが多いと思いますが、それ以外のメロディ楽器などはなるべく生で録音したり、打ち込みを頑張ったほうがいいですね。
まとめ
というわけで、今後劇伴系のお仕事をやることがあったときは、「生録はどの楽器で編成はどのくらいで音にどれくらいの情報量を詰め込むか」というのを意識してみたいと思います。
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